出版業界が危機に瀕してるのは、80年代に増殖したTSUTAYAがブックオフと組んで業界を食い荒らしたからだ。新しく登場したこれらのエンタメ型の過剰な消費型書店が、旧来からあった人文書のような良書を売る書店を駆逐してしまったのだ。だから文芸社の血液型の本みたいな低俗な本がベストセラーになるのだ。しかしレンタルと音楽セルが今後落ち目だから、ツタヤももう長くないはずだ。次に警戒しないといけないのはアマゾンだ。みたいなのが、全編のコメントを通して伝わってくる小田氏の主な主張(だと思う)。
何となく、この主張には、一番大切なお客様という視点が欠落しているような気がしてます。小田氏にとっては人文書が書店で売れなくなったのは、郊外型書店のせいだ、なのかもしれませんが、実際のところは、人文書は売れなかったから郊外型書店には置かれていないだけであって、単にその書店はお客様に合わせて品揃えをしているだけのことなんじゃないでしょうか。人文書が売れる書店であれば、ジュンク堂のように品揃えをするだけのことですし、実際そうしてます。お客様の需要があってこそ、品揃えがあるわけで、血液型の本やケータイ小説がベストセラーになるのは、それを求めるお客様が増えただけのことだと思います。それすらツタヤやブックオフの問題に帰納させてしまうのは、ちょっと解釈が歪んでいるようにしか思えません。
ツタヤやブックオフやアマゾンが伸びているということは、それだけ多くのお客様の支持を受けているということですが、その理由は本書で指摘されているような日販+CCCの陰謀論めいた話だけではないはずです。そこにはもっと本質的な商売上のサービスの違いがあるはずなんです。出版業界は、彼らを敵視してる場合じゃなくて、もっと彼らから学んでいかないといけないはずなのです。そこを間違ってしまうと永久に前に進めないことになります。